犬は散歩の際に自分のテリトリーを誇示する為におしっこを
付けて周ります。
これをマーキングと言います。
我が家にも最近、自分のテリトリーを守るために躍起になっている
人物がいます。
そうです、我が家の暴君、宇季ちゃんです。
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宇季ちゃん(私の娘です)は生後10ヶ月を過ぎ、動きが活発になってきました。
まだ自力で歩く事は出来ませんが、掴まり立ちは随分上手くなりました。
彼女は洋間に置いてある縦80cm、横120cm程の卓袱台を
自分のテリトリーとしており、そこを害するものは何者でも容赦しません。
これが私達の食卓でもありますから始末が悪い。
食事の際には彼女と私達の戦いとなります。
---ある夕食の情景---
彼女は今日も卓袱台の周りを巡回しています。
時折卓袱台の端をガジガジ噛みながら
「んままままま~」
叫んでます。牙を研いでるようです。
そこへ出来上がった野菜サラダが運ばれ卓袱台に置かれます。
テリトリーを犯された宇季ちゃん、速攻で野菜サラダに
歩み寄り、下に落としてしまいました。
娘:「あああぁあああ~!」
テリトリーを犯された警戒音でしょうか。
既に興奮状態です。
私:「ばか、不用意にものを置くな」
嫁に八つ当たりをする私。
嫁:「あんたが見てて避けてくれればいいでしょ?」
正論です。怒られた私は仕方なく下に落ちた草を口に運びます。
牛さんの気分です。
ドレッシングさえ掛ける事は許されません。
またひっくり返されたら片付けるのは私ですから。
宇季ちゃんを警戒しながら白ワインのボトルを空けます。
酒を呑む際には何も考えずにゆっくり呑むのが私のスタイルでしたが、
最近はそうも言ってられません。
何せ、ぼ~っとしてる間に何が起こるか分かりませんから。
そこへ嫁さんが本日の2品目「ピザトースト」を持ってきました。
さすがにこれは熱いですし、ケチャップたっぷりですからこぼされた
際の実害は野菜サラダの比ではありません。
嫁さんから手渡しでパスを受け、宇季ちゃんとは反対側に
置き、警戒を怠りません。
腹が減っていた私は暫しピザトーストを夢中で頬張ります。
ピザとワインは相性がいいですね、安い白ワインですが、家族と
呑む酒は美味しく感じます。
そこへいつの間にか歩み寄った宇季ちゃん。
私の顔をじっと覗き込んでいます。
ピザの皿は私の手の中にあり、しっかりと私が持っています。
こぼされる心配はありません。
すると宇季ちゃん、ピザの皿を一瞥した後、おもむろに卓袱台の上に置いてある私のワイングラスをひっくり返します。
絨毯に広がるグラスいっぱいのワイン。
匂いが部屋中に立ち込めます。
私:「おかあちゃん、またやられた」
嫁:「あんた学習能力無いの?」
布巾を持って嫁さん駆け寄ってきます。
私:「ピザ守ってたらワインやられたの。知能犯だよあいつ」
生後10ヶ月の知能に負ける私の脳みそというのはどういう作りなのでしょうか?
窓を開けて換気をしながらワインを拭き取ります。
隣では宇季ちゃん、飲みかけのミルクを卓袱台にこぼし、
一心不乱にこぼれたミルクを手で広げてます。
マーキングです。
これ以上自分のテリトリーを犯されまいとしているのでしょう。
こうして毎夜、知能犯宇季ちゃんと私達のテリトリー争いは
続きます。
安心して酒が呑める夜は、当分やってきそうにもありません。
宇季ちゃんの知能に打ち勝つ為に私に力を分けてください。