突然ですが、グリズリー(ハイイログマ)が好きです。
若いオネエサンが猫やパンダを見て喜ぶように、私はグリズリーを
見ると興奮します。
 何せ、出会ってしまいましたから、野生のグリズリーと・・。
 きっかけは星野道夫という写真家の写真集を見た事でした。
目に飛び込んでくる写真の素晴らしさと、繊細な文章表現にたまらなく
心引かれてしまい、どうしてもアラスカに行って見たくなりました。
 しかしただ見てくるだけでは芸が無いので、一つ目標を立てる事にしました。それが
打倒グリズリー」 です。
 私、一時期空手道に青春を傾けた事がありまして、そこそこの
実力もありました。
 かのウィリー・ウィリアムスは熊と戦って「熊殺し」の異名を
取りました。
 勿論そこまでの実力はありませんので、せめて
負けたけど勇敢にも熊に立ち向かった男」程度の称号は得られるかもしれません。
 準備はおこたりません。旅行に出る前半年程近くの道場にも
通い直しました。週一回
 さて、旅行です。
 マウンテンバイクを日本から持参し、それに生活
道具一式を括り付けてカナダーアラスカを回る事にしました。
 しかし、そこは町と町の間が数百キロに及ぶ大自然、次の町まで
3日・4日とかかります。当然荷物は増え、食料と、水を合わせると
30~40kgの荷物になってしまいます。
 アップダウンの多い道をひたすらペダルを回し続けます。
もうな~んにも無い、ただ延々と道が続くだけ。
 両サイドは切り立つ山のみ。
足は筋肉痛でパンパン、喉が渇いてたまりませんが、節制しないと
次の町まで水が持たない。食料も考えて食べないといけない。
 もう毎日がフラフラです。
 こうして書くとなんでこんな事してんだろうと思われるかも
しれませんが、楽しかったんです、その時は。
 白夜で日が沈まない明るい夜、テントを設置し、寝袋に足を
突っ込んで呑むウィスキーは最高でした。(水節制してるのに
持ち歩いているこの根性、本物の酒飲みですね)
 そんなある日、向かい風の上り道。霧雨が降っていました。
道は狭く、車が離合するのがやっとのgravel road(砂利道)
 森林限界地点を走ってるときです。
 目の前に大きな岩が道を塞いでいます。
離合する事が出来るかどうかの道に2Mはありそうな岩、
邪魔でしょうがありません。
 日本ではすぐに作業員が来て撤去作業にもなるでしょうが、そこは
カナダとアラスカの合流する国境地点。道路に人が落ちちゃいそうな
大穴が開いていても平気な場所です。
 余り気にもせず(というか、重い荷物持って上り坂に雨という
のは最悪のシチュエーションで、気にする余裕なんてありません)
 とにかくペダル回す事に専念しました。
 その岩を過ぎれば丘の頂上、やっと下りです。
岩を目標に昇り続けていると突然、振り向きました””が。
いや、岩は振り向きません。そうです、だと思っていたそれは
グリズリーだったのです。
 本来臆病な熊は人間の匂いや気配を感じるとすぐに逃げ出します。
しかし、雨と風により匂いと音を感じ取りにくい状況にあったのと、
余程のんびりとした熊だったのでしょう、私の存在を見過ごしていた
ようです。
 目と目が会う二人、距離は既に5M.向こうもびっくりしたでしょうが、
こちらは尚びっくりです。何せ、岩が振り向くんですから。
 人間、本当に恐ろしいと声にならないんですね。
ぅぅあぁあぁああ」うめき声程度にしか声になりません。
もう完全にパニックです。
 普通、こういった旅行をする人の為に熊避けスプレー(唐辛子の
エキスが入ってる)を持参するのですが、そこは「打倒グリズリー
を掲げる私、何も持ってません。
 絶対的な力の差って立ち会ってみると分かりますね、
「あぁ、もうオレ死んだ」
 その時完全に死を悟りました。
しかし向こうも余程びっくりしたのか、襲ってはきません。
ここで焦って逃げると向こうは本能で逃げるものを追いかける習性があります。上り坂も幸いして、ちょっずつ頂上へ。
 そして頂上についた途端、最高速度で駆け下り熊さんの
餌になる事を逃れることが出来ました。
 いやぁ。未だに生涯で一番怖かった事と言えばこのグリズリーと
見つめ合った時を挙げます。
 
 この時からです。もうグリズリーを倒す事は止めよう。
そして日本一のグリズリーを愛する男となろうと決意したのは。。
 私を餌だと勘違いしなかったグリズリーを
 でも出来たらもう二度と会いたくないなぁ、檻に入っていない奴には。
 星野道夫さん本か写真集、一度お読み頂ければグリズリーの素晴らしさに出会えますよ!
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